色素について。   

この5~10年弱のあいだ、ジャックラッセルテリアは加速度的に増加しました。
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以前は、ジャックラッセルテリアを探すのも難しかったし、

街で会うと思わず「ジャックだ!」って近寄りたくなるほど数少ない犬種だった。

それからわずか数年の経過ののち。

いま、第一次世代で増えたジャックラッセルてテリアが、6歳、7歳、8歳という、

小型テリアではミドルエイジに差し掛かっているように思います。

いま。

なんです。

ジャックラッセルテリアの毛質と、健全性のトラブルについて考えるべきは。

ジャックラッセルテリアの色素と、その健全性について考えるべきは。

ジャックラッセルテリアのいくつものブリーディングラインと、それに付随する

発病率について考えるべきは。

若い頃はなにもなくても、年月を経て、老いてくるといろいろなトラブルが

起きてくるのは人間だって同じ。

最近、色素と毛質について考えています。

* * * * *
ジャックラッセルテリアは、白い部分がタンの部分よりも多く占めていると

スタンダードに定められています。

これには理由があって、ボーダーテリアやスカイテリアなどの古い伝統的テリアは

グリズル、グリズル&タン、レッド、ブリンドル、ウィートンなど

背景に馴染みやすい保護色的毛色である反面、

獲物である野生小動物と間違え、誤射して殺してしまうケースが多々あったようです。

そんな失敗を繰り返さないための犬種改良ののち、

白い色のウェストハイランドホワイトテリアができたそうです。

白ければ、見間違うことが少なく誤射する失敗を防ぐことができます。

また、ジャックラッセルテリアと毛色では似ている部分のある

フォックステリアは、古い時代の毛色は狐色だったといわれています。

けれどこの狐色のフォックステリアを岩場や巣穴で使用したところ、

毛色が狐と似ていることからしばしば犬を射殺してしまう悲しい失敗があったそうです。

そこで、犬種改良ののちに、あの白い毛色のワイアフォックステリアと

スムースフォックステリアができたそうです。

また、ジャックラッセルテリアはこれらのフォックステリアと基本的には

同じように瞬発力を生かした駆動性をのぞまれた狩猟テリアです。

ではなぜ、ジャックラッセルテリアが必要だったか。

フォックステリアには入れないほどの小さな穴に瞬時に入れる小型(ミニマム)な、

そして駆動性の高く、狩猟気質の高い、

「白くて小さい」テリアを必要とした結果がジャックラッセルテリアという犬種の

誕生につながったのだと思います。

話を戻しますが、ジャックラッセルテリアは、白いテリアです。

でも、この「白い」ことによる弊害もあるのが、現実です。

ボーダーテリアは改良されていない古いテリアで、色素が全体的に濃い犬種です。

毛色も濃く、肉球も、爪も、アイラインも、すべて濃い。

口の中側の色素もとても濃い色をしています。

そしてボーダーテリアは、すべて、とはいいませんが概してとても丈夫です。

またサイズ的にも無理に小型化したり、短脚化の改良を加えていないため

お産、運動、すべての面で丈夫で性能が高いように感じます。

ジャックラッセルテリアは改良テリアです。

毛色、サイズ、気質、すべての面で人間の手を加えられている犬種です。

ちなみに、いま、子犬の一胎子登録(血統書の申請)の際、

毛色を書き入れるのは基本的には繁殖をした人です。

でも、これがまたいい加減なんですね。

White&tan、と書く人もいれば、

White&Brown、White&BLACK、WHITE&BROWN&BLACK

など、かなりテキトウな統一性のない毛色表現です。

その人の主観的な判断で書類に記載した毛色が、血統書にそのまま載ります。

生まれてすぐのときには毛色は識別出来なかったり、

成長過程で変わったりするので、はっきり言えば、曖昧なのです。
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モナの娘のモコちゃんは、生まれた時はBlackだと思えたタンの部分が

成長とともに、いまでは、Brownになってきています。

だから、血統書に記載されている表現は、あまりアテにならないと思います。

その犬その犬の色素の判断は、毛色だけでなく、アイライン、肉球、

口腔、いくつかの部分を見て判断をするほうがいいと思っています。

わたしが最近思っているのは、薄すぎるタンへの心配とブルーという色の問題です。

まず、薄すぎるタンについて。

ペットショップや、売りたいブリーダーさんは、センターブレーズのきれいな

白い部分の多い子を繁殖に好みます。

理由は、そのほうが、売れるから。

白い子はショップに並んだ時にかわいく見えるし、きれいな顔のほうが売れやすい。

黒っぽい顔や、泥棒顔さんは、値段が下がる場合もあるようです。

すごくおかしいことだけれど。

けれど、この、白い子ばかりを求めたブリーディングはちょっと危険です。

濃い色素を持つ子は皮膚やその他の部分で丈夫だといわれます。

もし、白っぽい子ばかりのブリーディングがつづいたら、

つぎは色素の濃い、タンの強い子をそのラインに取り入れながら

犬種の健全化をはからないといけないと思います。

我が家の場合、モナちゃんはマズルがもともと黒く、大地もマズルが黒い。

タンの色もマホガニーに近いやや濃い色をしています。

顔にセンターブレーズもありません。

逆に、マヤやCoCoのほうが白い印象ですが、CoCoのおばあちゃんは

とってもキツイ、黒っぽい顔をして、色素のすごく濃い犬です。

わたしは、白くて顔のきれいな子はきれいに越したことはないとは思うけれど

白く、薄く、見た目を改良することよりも、健全性に目を向けて

色素の濃い血液を取り入れることを優先したいと思っています。

自分の犬の毛色が薄いか、濃いかを識別するのは難しいです。

ラフコートの犬は、ストリッピングを繰り返すことでだんだんと毛色が

しっかりしてくる場合もあります。

逆にラフコートの犬の毛を伸ばしたままにしてれば、だんだんと褪色して

レモンイエローのようなタンの色になってきます。

これは、本来的な色素の薄さではなく、毛が伸びて色が薄くなっているので

ストリッピングの繰り返しによって、ワントーンは濃くなると思います。

ただ、日本でよく繁殖されているラインの中には、

本質的に(遺伝的に)とても色素の薄いラインが数本、あるようです。

色素をみるのに、毛の色だけでなく、アイライン、肉球、口腔の上あごなど

いくつかの部分をチェックしてみると、なんとなくわかります。

色素の問題は、皮膚の問題にも直結するし、白内障、緑内障などの

目の問題にも関わるとても大切な問題。

見た目だけにこだわるのではなく、本質的な健全性に目を向けることは

とても大事なことだと思います。

また、毛質については、わたしはブロークンを中心に残していこうと思っています。

スムースはとてもジャックラッセルテリアらしく好きなのだけれど

ブロークンコートに比べると、皮膚の問題が起こる確率がやや高いように思います。

個体差なので絶対ではないし、スムースだから皮膚が弱い、ということではなく

確率の問題としては、数人のブリーダーさんと話をしてきたところ

ブロークンがいちばん丈夫なんじゃないかと、現在は意見が共通していました。

ラフコートは、どこまでがラフでどこまでがブロークンかの境界線が曖昧ですが

スムースコート、ブロークンコートに比べると、やや体質がやわらかい印象があります。

プリップリ、ムキムキの筋肉質のジャックラッセルは、どちらかというと

スムース、ブロークンに多いように思います。

これも個体差なので、そうでない場合ももちろんあります。

たとえば、同胎でも、ジョアンとマヤは毛質がまったく違います。

ジョアンは短めのブロークンコート。

マヤは長めのブロークンコート。

牡牝の違いはあるけれど、本質的なものとして、ジョアンのほうが体質が硬く

かっちりしています。

モナちゃんの子たちはみな、アイラインがとても濃いです。

また、CoCoとオリベ君は同胎の兄妹だけれど、毛質も毛色も違います。

オリベ君は短めのブロークンで、体質も硬く、色素も濃い。

お母さんの血が強いんだなと思います。

CoCoはラフに近いブロークンで、センターブレーズしっかりのタン。

お父さんの血が強いんだなと思います。

同胎でさえこれだけの違いが出るほど、生き物なので個体差はあります。

スムースでも健康な子は健康だし、ラフでも健全な子は健全だし

色素が薄くても問題のない子ももちろんたくさんいると思います。

ただ、ブリーディングする場合には、確率的にベターベターを選択して

より疾患が出るリスクを回避し、健全なものに近づける必要があると思います。

色素と毛質について、わたしがブリーディングをつなげていこうと思うのは

つぎのような結論です。
(好みという視点ではなく、ブリーディングという視点で)

●色素がその犬自体が濃い犬。

●その先祖のラインに濃い色素を持っている犬。

●アイラインがしっかりと入っている犬。

●ブロークンコートか、硬い毛のラフコート

●両親犬の毛質がある程度硬い犬。

3毛種の判別が難しいけれど、なるべく、なるべく、いいほうに、と思っています。

ちなみに、モナちゃん今年6歳、大地今年3歳、CoCo1歳、マヤ6ヶ月。

長い短いはありつつ、みんなブロークンコートで、アイラインが濃く

ライン的には色素の濃い犬が入っています。

全員、皮膚の問題で病院に行ったことがありません。

ちょっとした痒いトラブルみたいなものも、経験したことがありません。

まだ歴史の浅い犬種で、ひとつひとつの経験則を積み重ねることがすごく大事だと

思うのです。

生き物を扱う限り、ブリーディングに100%はないし、どんなにリスク回避を考えても

疾患が出てしまうこともあると思います。

ただ、できるかぎりのことは、考える必要があるとは思っています。

白い犬は、毛色の濃い犬種に比べデリケートな部分を持っていると言われます。

白いテリアを必要としながらも、フォックステリアやジャックラッセルテリアを

真っ白くしなかったのは、この色素の問題も理由のひとつだったのではないかと

思います。

人間の目的や、便宜、見た目だけを追求して、健全性を損なうのは本末転倒で、

ブリーディングする人は、かわいい顔、きれいな顔にだけ目を向けずに

健全性に目を向け、毛色、毛質について考えてほしいと思います。

ラフ、スムース、ブロークン。

色の濃い子、薄い子。

個人的にはみんなかわいいんです。

ただ、ブリーディング、という視点で考えるとそういう方向を模索したいと思います。

また長くなってしまいました。

こんな話も、みんなで一緒に考えられたらいいなと思います。
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by jrt-mona | 2007-01-19 05:38 | BREEDING

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